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「訴訟」と「仲裁」の区別について
丁徳応 登録弁護士

中国において取引契約を結ぶとき、その履行を確実に保証するため、紛争の解決方法に関する条文を明記すべきであるが、訴訟の方法にするか、仲裁の方法にするかについてよく迷うだろう。下記の「訴訟」と「仲裁」のそれぞれの特徴をはっきり理解すれば、自分の状況を分析した上で、最適な選択ができると思う:

一、適用範囲の違い
仲裁は民間性と司法性の特徴を持つ社会救済方法として、契約又は財産権益の紛争だけに適用することができる。婚姻、養子、子供の扶養、親の扶養、相続等の身分関係の紛争又は行政機関による解決すべき紛争については適用できないとされている。これに対して、訴訟は国の権限を持つ救済方法であるため、財産関係の紛争だけではなく、身分関係に係わる各種の紛争にも適用できる。

二、 案件の受理方式の違い
仲裁は当事者の事前若しくは事後に合意した仲裁協議がなければ、受理することができない。また、仲裁協議の内容については、仲裁の選択をはっきりにしなければならず、且つ仲裁機構を唯一にしなければならない。例えば、上海である場合は、「上海仲裁委員会」と「中国国際経済貿易仲裁委員会上海分会」があるため、どちらに指定するのをはっきりしなければならない。これに対して、訴訟はこのような事前の合意がいらず、いずれかの当事者が合法的に起訴すれば、裁判所が受理しなければならないとされている。

三、 強制力の違い
訴訟の場合は証人を召喚したり、当事者を追加したりすることができ、また、証拠又は財産を直接保全することもできる。そのほか、裁判所は有効である裁判判決を強制執行するできる。これに対して、仲裁の場合は証人の召喚や当事者の追加ができず、また、証拠の収集や財産保全について裁判所のような強制力を持っていない。当事者が仲裁の裁決を履行しない場合、仲裁機関が強制執行の権限を持っていないため、相手方の当事者は裁判所に対し強制執行の申請を行うしかない。また、上海において訴訟を行う場合は、裁判所が調査命令状を発行し、弁護士に事情調査や証拠収集をさせることができるという特別なやり方があるが、仲裁の場合はこのようなことができない。

四、 審級制度及び監督制度の違い
訴訟制度は二審が最終的な審判であるため、一つの案件について法律上の意見を主張するチャンスが少なくとも2回ある。また、裁判所の内部では審査委員会、上級裁判監督があるが、外部では人民代表大会、検事機構、社会民衆、マスコミ世論等の関係があるため、万が一判決に誤りがあったとしても、再審を行うことができる。しかし、そうになる場合は、訴訟の期間が延ばされ、一年以上になるおそれがある。一方、仲裁はそれと違う。仲裁制度は「一裁終了」である。すなわち、手続上に明確的な違法点がなければ、仲裁の裁決が下された後、直ちに執行を申請することができる。仲裁の審理期間について、はっきり定めされていないが、実務上では昆山を例とし、普通6ヶ月内に裁決を下す。仲裁機構の仲裁手続について、中国仲裁協会と裁判所は監督している。

五、 担当人員の違い
仲裁機構の担当は仲裁員である。各仲裁機構は仲裁法の規定によって外部から専門性が高い優秀な者を仲裁員として任用する。つまり、仲裁員は「兼職」である。なぜなら、専門的な案件が専門家による取扱いことは狙いである。一方、裁判所の審判担当は裁判官である。裁判官は「兼職」ではなく、専門の職業であり、人民代表大会によって任命される。いわゆる、「任命制」である。

六、 審理方式の違い
訴訟は個人プライバシー、商業秘密、国家機密、当事者が不公開審理の申請を申込んだ離婚等の案件を除き、一般的には公開審理の方法で行われるため、傍聴や取材をすることができる。これに対して、仲裁は双方当事者が公開審理の合意がなければ、一般的には不公開審理の方法で行われるため、傍聴が許されていない。そのため、事情を他人に知られたくない多くの当事者にとって、仲裁の不公開審理の方式は良いだろう。

七、 海外での執行力の違い
訴訟は国家司法権であり、国家主権の象徴の一つと言える。そのため、裁判所の有効判決は必ずしも他国に認められるとはかぎらない、おまけに両国間の協議がなければ、海外での執行の協力を得られない。これに対して、仲裁の場合は「ニューヨーク公約」(外国の仲裁裁決を承認・執行する公約)がある。当該公約の加盟国であれば、案件の執行に協力する義務が付けられている。現在、世界の数多くの国が当該公約に加盟しているため、仲裁裁決の海外執行は訴訟判決より実行されやすい。



 
 
 



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