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外国籍従業員との労働紛争に対応する二つのポイント
王程功 執業弁護士

外国籍従業員を中国で雇う時には、中国の労働契約法を適用しなければならない。中国で多発する外国籍従業員との労働紛争には、大きく二種類の問題があるようにみえる。一つは、外国籍従業員が労働紛争仲裁を申し立てる際の「主体資格」についての問題、もう一つは正常の賃金以外に残業代が支給されない「責任制度」は
合法且つ有効であるかという問題である。

「主体資格」の問題については、現在、中国国内の労働紛争処理機構は常に、「就業証」の手続きを行ったかどうかを、外国籍従業員は労働紛争仲裁機構に労働仲裁を申し立てるべきかそれとも裁判所に起訴すべきか判断する根拠としている。規定によると、外国籍従業員は中国で就業する時、先ず外国人就業管理機関に「就業証」の取得を申請しなければならない。「就業証」の取得手続きを行う時に、主管機関は雇用主に対し、その外国籍従業員と締結した「労働契約」の提出を要求する。将来労働紛争が発生した場合には、労働紛争仲裁機構はその契約書を、外資系企業と外国籍従業員が労働関係を締結したことを認定する根拠とするので、外国籍従業員による労働紛争仲裁の申し立てを受理することができる。もしも企業が外国籍従業員のために「就業証」の取得手続きを行っていない場合には、その外国籍従業員は法律上、中国で就業する資格を持たないため、この従業員と外資系企業間の雇用関係は存在しないと定義されるので、当然、労働紛争仲裁機構は発生した労働紛争を受理しないことになる。その際、当事者は民事紛争のように直接管轄権のある裁判所に起訴するしかな
い。中国法律の保護範囲は当事者双方の約束によって決められるため、このような場合は「契約法」に適用されるので、裁判所は申し立てを受理することができる。

実務においてよく見られる「責任制度」については、勤務時間の長さを賃金支給の根拠とせず、職責範囲内の任務の達成度を賃金支給の標準とするため、残業代の制度を持たないのである。中国の規定によると、企業の高級管理職に対し、政府の認可を得て不定時労働時間制を導入する場合には、残業代を支給する必要がない。問題になるのは、企業が自ら「責任制度」を実施しているが、政府から認可を取っていない場合である。もし労働紛争が発生したら、労働紛争仲裁機構に仲裁を申し立てても、実施した責任制度が政府に認可されていないため、最後はやはり残業代を支払わなければならないことになる。

このような状況に対し、江蘇省は二〇〇六年の「江蘇省労働紛争仲裁事件に関する検討会の議事録」において、高級管理職に対し、原則上は不定時労働時間制を申請しなければ、残業代を不支給とすることはできないと明確に指摘しているが、公平合理の原則からみて、年俸制を適用している企業の高級管理職に対し、労使双方が残業代を支給しないことに同意している場合、仲裁委員会はそれを認可することがある。その場合にも、残業代を支給しない「責任制度」を実施するにはやはり下記の三つの条件を満たさなければならない。

一、高級管理職に対してのみ適用していること
二、「年俸制」の賃金制度を導入していること
三、労働契約に残業代の不支給を明記していること

最後に、「年俸制」ははっきりとは定義されていないが、実務的には、年度を単位として、月々固定の月給を支給し、年度終了時に企業の生産・経営実績によって業績賞与の支給金額を決めるという体制を指す。高級管理 職の業務実績、経営成果は年度終了より事前には予知できないが、企業の高級管理職に対しては契約の中に、年俸金額だけでなく、年俸を得るための必須条件も明確に記載したほうが良いのである。



 
 
 



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