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新映画紹介
人生は劇のように美を追い求めた役者の一生 
花の生涯梅蘭芳
文/米瑞克 写真提供/中環集団 訳/駒田英

梨園に生まれ、女形として京劇のトップスターであった梅蘭芳。その名は今なお広く知られる。その妖艶な演技は男たちを魅了し、一旦舞台を降りれば、彼をめぐって女たちが争った。その一生は公私ともに華やかであった。

チェン・カイコー監督は本作を撮った理由について問われ、近所に住む梅家とは幼いころから縁があり、よく遊びに行っていたことを明かした。梅蘭芳の当時の印象についてチェン監督は「幼かった僕は、早起きの梅蘭芳が庭で剣舞を するのを見ていたよ。でも、まさか自分が彼をテーマにする映画を撮ることになるなんてね」と語った。そして時は流れ、チェン監督のもとにこのストーリーが舞い降りた。彼は梅蘭芳の息子である梅葆琛、梅葆玖両氏の同意を得たのち、メガホンを手にしたのだった。

名優たちのプライドのぶつかり合い
レオン・ライが梅蘭芳役に起用されると発表されるやいなや、果たして彼がこの難役をこなせるのかという疑問の声が上がり、特に京劇の女形には向かないという声が強かった。しかし、すでに公開された中国での反応まずまずであり杞憂に終わったといえよう。また脇を固める俳優陣も名優揃いである。特にスン・ホンレイの演技はすばらしく、彼こ
そが主演「男」優とみる向きもある。

その男らしい外見から硬骨漢や悪役を演じることが多いスン・ホンレイだが、本作ではナイーブな男を演じる。彼が演じるのは梅蘭芳に魅せられ、人生をかけ彼を支援する邱如白という男。生涯妻をめとらず、ともすれば同性愛の傾向も感じさせる役柄である。北京での記者会見で、司会者に「痩せたのでは?」と問われたスン・ホンレイは「梅蘭芳を想うあまりね」と冗談で切り返し、会場を爆笑に包みこんだ。なお本作に専念するため、半年間他の出演依頼を断り、蘇北話(江蘇省北部の方言)を学ぶなど役作りに努めたという。彼のこうした姿勢は高く評価されている。


ひとりの男をめぐる 二人の女の争い

本作は京劇がベースで、また同性間の恋も描かれていることから、チェン監督自身の名作『さらば、わが愛/覇王別姫』を連想してしまうファンも多いだろう。しかしチェン監督は劇中の登場人物の邱如白にそういう性傾向はないと断言、この役を演じるスン・ホンレイにも同性愛を連想させるような演技とならないように求めたという。

一方で、チェン監督は梅蘭芳の妻である福芝芳と、愛人の孟小冬との関係をより踏み込んで描いている。舞台で共演する二人の関係を知った福芝芳が、孟小冬の家を訪れ、夫と別れるよう迫るシーンは迫力満点。「お茶をお召し上がりになるかしら」と尋ねる孟小冬に対し、福芝芳は「結構よ。私はお湯がいいの。汚れてないから」と言い放つ。福芝芳を演じるチェン・ホンと孟小冬を演じるチャン・ツィイー、二人のぶつかりあいは見事である。

ベテランと若手 見る者を引き付ける役者陣
若き日の梅蘭芳を演じたのは新人のユイ・シャオチュンである。師匠であるワン・シュエチー演じる「十三燕」との勝負は、本作のクライマックスといっても過言ではないだろう。十三燕が臨終を迎え、梅蘭芳に残した「負けは恥ではない、恐れる事こそ恥なのだ」という言葉は非常に印象深い。

登場する場面こそ少ないが、ワン・シュエチーは本作でも名優らしい味のある演技をみせてくれる。また京劇に理解のある日本軍人役を演じた安藤政信は、中国語のセリフをも見事に克服し役者魂を感じさせる。

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