日本では毎年その年の社会を代表する漢字が発表されます。昨年は「変」。二00八年はあまりに変化が早すぎました。八月にオリンピックの盛大な花火を見たかと思えば、あっと言う間にすべてが変わってしまいました。年末を待つまでもなく、わたくし劉は日本に先駆けて、二00九年の日本に必要な漢字を発表します。それは――――「穏」です。
数年前、お客様とともに成都へ商談に行きました。この董事長は七十五歳の高齢ながらパワーはどの若者にも負けません。商談が終わったその日の晩、早速成都から車で重慶まで行くよう指示されました。ところが高速道路で私は、この一生で最もひどい霧にあってしまいました。私は後部座席、前は運転手さん、隣は董事長、その前の席は董事長の会社の財務長が座っていました。ずっと忘れられないのは、窓を開けて見ても、ライトをどんなに強くしても前の車が全く見えなかったことです。更に路面の線も標識も白い霧に覆われ、手を伸ばすと五本の指さえ見えない、そん
な濃い霧の中にいたのです。前後左右が全く見えず、一秒先がどうなるかわからず、今でも思い出せるのはこの漢字二文字―― 恐怖」です。
車内は不安な雰囲気となり私自身も怖かったのですが、運転手さんはまだまだ若く、この濃い霧に慌てているのがよくわかりました。董事長は後ろから運転手さんの肩を軽くたたき、「大丈夫だから、ゆっくり行こう」と声をかけられました。不思議なことにこれだけの言葉で車内の不安なムードはすぐに
なくなり、私も安心しました。続いて、その董事長は過去にあった濃霧の話をしてくださいました。さすがです。中国語には「生姜はやはり古いほうが辛い」という言葉があります。年齢を重ね、人生の経験を重ねた人はやはりすごいという意味ですが、私はこのときこの言葉の意味を実感しました。
今の経済はその時の霧と同じで、前後左右が見えず今後についても誰もわからない状況です。しかし、あなたが社長さんなら、ぜひとも社員を励ましてあげてください。社員はあなたの車に乗り、未来が見えずおびえているのです。リーダーたるもの、会社全体を安定させるよう、考えを尽くすべきです。社長さんが穏やかにしていれば、会社も当然穏やかになります。また、もしあなたが社員だったら、ぜひ社長を信じてください。どの社長さんもこれまで様々な経験を積み、無数の濃霧を過ぎてきたのです。社長さんは「古い生姜」であなたよりは「辛い」はず、社長さんが皆をこの濃霧から脱出させてくれると信じていきましょう。
この『昴』は十二号となりました。またこの「社長の話」も十二回となりました。皆様のこれまでのご支援に感謝申し上げますとともに、この牛年が経済の濃い霧から抜ける一年となるよう皆様と手を携えていきたいと思っております。
穏やかにいきましょう!濃い霧はきっと晴れます! |