中国の輸出型外資系企業は、通常、リスク回避の手段として銀行を利用し、一定期間内の人民元レートを固定し、人民元の切り上げによる損失を軽減している。
また、外資系企業は、外貨での借入れにより人民元で返済するという最もよく見られる方法で、人民元切り上げの衝撃を軽減することがある。実は、中国の輸出型外資系企業は金融機関を利用する以外にもいくつかの選択肢があり、これらを併用することにより、為替損失による経営リスクを可能な限り回避することができる。
人民元の切り上げによる貿易モデルへの影響を例とすると、従来、来料加工貿易或いは進料加工貿易の選択については、輸出税還付が判断のキーポイントだが、実務上、企業はすべて販売方法における輸出税還付だけしか考慮していない。たとえ周到に考慮したとしても、さらに仕入税額、保税原材料額、販売収入、粗利率などを加えて判断するしかない。いずれにしても、外資系企業は常に貿易モデル選択と取引仕組みにおける人民元切り上げの重要性を見落としている。
次に、人民元の切り上げは、外資系企業による機械設備の購入及びファイナンスリースのモデル選択にも影響を与えるものである。奨励類輸入設備の関税免除枠の取得が徐々に厳しくなるため、設備を購入するが免税枠がない時の資金上の圧力に対して、多くの外資系企業は「非保税設備のリース」というルートにより生産に必要な設備を取得せざるを得ない。「オペレーティングリース」或いは「ファイナンスリース」を問わず、設備を海外からリース或いは融資購入してから中国まで運送することがポイントであり、もともと海外より設備を購入する必要がある場合、リース方式によって海外への外貨払いの延期が可能になるが、も
しも免税枠の取得ができないことにより国内での購入を考える場合でも、海外からの購入に切り換えることができ、その上で一括払いによる資金負担の軽減及び人民元の切り上げを利用して、リース利息支払いのバランスをとる目的を達成することができる。
他方では、人民元の切り上げが外資系企業の既に日常的となった業務見積プロセスを改変させることがある。以前は、人民元レートが固定で輸出税還付率、原材料価格も安定していたため、中国の外資系企業から海外顧客への見積もり基盤も比較的単純であった。しかし、現在は人民元相場の変動を含めるコスト諸要素が激変し、事業部門が海外顧客に見積もりを提出する際に、財務や調達等の関連部署からの協力を得て、完全なコスト情報を収集し、今後コストに影響する可能性のある変化につき計算を行い、その上で企業が受け入れられる販売価格の最低限度を見つけ出さなければならず、従来の事業部門が見積もりを直接決定していた方法はもう通用しないことになる。
最後に、見積期間の短縮も外資系企業ができるだけ利用する方法である。見積期間を短縮するほど、実際の原材料コストと為替レートの状況を反映することができる。業種上の特徴に応じて、見積期間が一年以上になる企業もある。今年は見積もりにより注文を受け、来年に出荷して売掛金回収するという業務パターンである。見積もりから出荷までの期間が長くなればなるほど人民元レート、或いは原材料価格の変動のリスクが高まり、さらに販売価格と原材料の二つの為替レートの変動により二重の損失を被ることも考えなければならない。
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