中国で工場設立しているほとんどの外資系企業が、中国における人件費低コストの優勢が失われて行くことを認めている。特に、『労働契約法』、『労働争議調停仲裁法』、『労働契約法実施細則』及び『企業従業員年次有給休暇実施弁法』がそれぞれ実際に施行の段階に入った後、改めて人件費を計算し、かつ新たに中国の投資環境が自社に適合するかを評価することは、外資系企業が皆直面する問題になっている。
他方、上述した一連の法令の施行による人件費上昇のほかに、企業が負担する社会福祉コストの増加も外資系企業を悩ませる次の問題になる。
二月十五日に社会大衆からの意見募集を終了した『社会保険法』草案では、今後範囲が明確に定められた。この『社会保険
法』はいまだに草案のみであるが、過去の経験から見ると、『社会保険法』の施行はまちがいないが、ただ現在の経済環境状況に応じて最も適切な施行時期を待っているだけである。
今まで中国政府は、社会保険に関して数多くの行政法規を公布したが、終始整合性のある統一的な法律をもっておらず、加
えて各地の制度も異なっているため、まとまった社会保険制度が形成されていなかった。今回の『社会保険法』草案は、二〇〇三年からすでに起案を開始し、社会保険の範囲が「養老、医療、失業、労災、出産」という五つの分野のカバーを明確にさせることに重点を置いている。
今後は中国住民の個人身分証明書番号は直接個人社会保険登録番号になり、しか企業が負担しなければならない社会保険のも養老、医療及び失業に関する社会保険金の関係も本人によって移行可能になる。また、企業が最も関心を持つ社会保険金納付の監督管理問題に関しては、今回の草案では企業に従業員に社会保険金納付明細を月ごとに公表しなければならないことが明確に要求され、もし企業の保険金納付額の支払い不足があれば、政府は企業の口座から直接控除する権利を有する。また、所定期限までに納付を済ませなかった企業に対しては、二倍以上の罰金を課されることもある。
今回の「社会保険法」はまだ草案のみであるが、外資系企業は先立って以下の幾つかの視点から社内の労働人事問題を考量しなければならない。
一、外来人口の社会保険問題
海外のような戸籍の自由移動が可能なものではなく、中国の戸籍政策は非常に複雑であるが、社会保険はちょうど戸籍と最も
密接な関係を持っている。
たとえば、上海で加入された医療保険は北京では有効であるとは限らない。各地で企業が負担しなければならない従業員の社会保険基数も異なっているため、企業がその所在地以外の人員を雇用する場合、社会保険の加入方法に留意する必要がある。
二、商業保険
多くの外資系企業は、政府が定めた社会保険に加入する以外に、従業員のための商業保険に加入することを年金制度、人材の確保又は従業員奨励手段として利用している。または、企業は従業員に一部の商業保険料を負担させ、残りの商業保険料を補うこともある。
三、自動化コストと人件費のバランス
一旦社会保険法が正式に施行される場合、外資系企業が中国で人件費の上昇問題に再び直面することになる。
過去一年間の中国労働人事環境の変化から、外資系企業は自動化コストと上昇しつつある人件費の間における効果・利益関係をしっかり評価し、その上で中国投資のコストに対する考えを見直すべきである。自動化への選択がやむをえず決定され、さらに新たな投資地を見つけることは恐らく中国における人件費の新たな評価により得られた結果である。 |