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故郷の美景
もう一つの小京都 埼玉小川町
文/森沢薫

全国に、小京都と呼ばれる町があちらこちらに存在している。町並み、歴史、風情、なつかしい心のふるさと、等々の要素が揃って、なんとなく京都を思わせる条件を持つ町は小京都と名づけられている。また、小京都と呼ばれるには、様々な由来がある。例えば、京都と地形が似ている、つまり三方が山で、その中を川が流れている盆地があるところとか、古くからの伝統や歴史が受け継がれていて、色々な年中行事、作法、習慣が同じであるとか、また、京都の神社から分霊した神社があるとか、それらの理由で「小京都」という言葉が、地方によってとても魅力のある観光キャッチコピーになっている。

この「小京都」の言葉は自然に出来たものではなく、全国各地に所在する京都ゆかりの市町が連携し、広域キャンペーンを実施し、各市町のイメージをアピールした。観光客の増加を目的に、昭和六十年に全国京都会議を設立して、小京都という言葉が正式に誕生した。今回、紹介したい「小川町」は平成八年に五十一番目の小京都として認められ、まだ新しい、若い「小京都」とも言えるだろう。

最近、連日テレビの番組に「小川町」が紹介され、いままであまり知られていない、この埼玉県にある「小京都」が一夜で有名になった。キレイな文明的な建物や凝っている日本庭園などでピカピカにしている有名な観光名所より、これからは小川町のような素朴で風情のある古い町を散策するのは、逆に新鮮であるかもしれない。

小川町が「小京都」と認められた理由が三つある。まず歴史から見ると、国の重要文化財に指定されている、日本最古の石造法華経供養塔と板碑が大聖寺にある。「万葉集」の研究者として名高い仙覚は「万葉集注釈」全十巻をこの小川町で完成させている。千三百年の歴史ある手漉き和紙、特に「細川紙」の技術はここにある。そして地理的に見ると、小川町には、周囲が秩父の山々に囲まれ、市街地の中央に川が流れている。また伝統ある夏祭り「祇園祭り」があることも京都ととてもよく似ている。伝統と言えば、この小川町の和紙作りと同じ歴史を持つ「作り酒屋」、「鬼瓦」などの地場産業が栄えた歴史も残っている。こういった様々な理由で、今ではテレビにも登場する有名な観光地になった。

関越自動車道、嵐山・小川ICより十分、東武東上線、JR八高線で行ける関東の小さな町に、足を延ばしてみてはどうだろう? 小川駅を出発し、指導標に従って商店街を抜けると、小川町和紙体験学習センターが見える。本格的な手すき和紙作り講座を開催している施設である。

川にかかる馬橋を渡り、その先を左に曲がると、円城寺がある。指導標に従って山すその道を歩くとカタクリとオオムラサキの林へ出る。さらに進むと西光寺の鐘桜が見えてくる。道なりに進み、川に架かる大寺橋を渡ると、自然の大舞台が目の前に!外秩父の山々が連なってあり、思わず深呼吸したくなる景色である。このように歴史があり、自然があり、伝統がある田舎の普通の小さな町こそ、今の急がし過ぎる現代社会にとって、癒しの町とも言えるだろう。心が疲れた時、パソコンで目が痛くなった時、ぜひこの町を訪ねてみては?


勿論、小川町の七夕祭りはこの町の観光ポイントだと紹介しなくては!

一九四九年に第一回の七夕祭りが開催以来、多くの人々の手によって、脈々と受け継がれてきた歴史と伝統を誇る祭りである。見どころは特産の和紙をふんだんに使って、作った豪華な七夕飾りだ。暑い夏の二日間、大勢の観光客を集める。初日の夜、日本人にとっては欠かせない花火大会も開催される。今度の夏休みには、小川町へ心の洗濯の旅にでも出ようか。

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もう一つの小京都 埼玉小川町



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