基本給与又は社会保険費用の引き上げが労働コストに与える影響は明らかであるが、法定休日が労働コストに与える影響は直接数値に出しにくい。多くの企業は、法定休日が多ければ多いほど労働コストが高くなることは理解しているが、労働コストの計算時に法定休日が労働コストに与える影響をよく見落としている。
今回の「企業従業員年次有給休暇実施弁法」が公布される前においても、妊娠出産を例とすれば、中国の女性は二十三歳を過ぎて出産する場合、四ヶ月の出産休暇を享有できる以外、産後の一年以内は、毎日一時間早退し、有給哺乳休暇を取ることができる。従って、過去の中国における潜在的な労働コストは、年次有給休暇がなかったとしてももはや低くないのである。今後、全面的に年次有給休暇の規定が執行されることによって、外資系企業が中国で負担しなければならない潜在的な労働コストはさらに上昇するに違いない。よって外資系企業にとって労働コストの変化が企業構造に与える影響を改めて分析することは価値がある。
年次有給休暇によるさらなる労働コストの上昇に対応し、外資系企業は自社の人的資源対策を見直す以外に、以下に挙げる労働人事管理の細分化も図らなければならない。
一、オートメーション化コストと労働力コストとの比較
現在、すでに中国が他の国と比べて労働力が安価な国ではなくなったことは事実である。よって進出当初、中国の安価な労働力を利用して製品の輸出差益を儲けようとした外資系企業は、中国に引き続き滞在する限り、オートメーション化の生産に切り替えるか、それとも従来の労働集約的生産形態を維持するか悩むことになる。その解決のポイントは、オートメーション化に切替時に増加するであろう予定外コストと、その後に節約できる総合労働力コストの間ではどちらが経済的であるかということである。生産高や業務に影響を及ぼさずに雇用数を減らすことは各種の労働人事問題を解決するもっとも根本的な方法である。
二、労働時間制度を改めて検討する
中国の労働法津は標準労働時間制度、不定時労働時間制度及び総合計算労働時間制度という三つの労働時間制度を認めている。勤務性質の異なる従業員は、異なる労働時間制度を適用すべきである。労働時間制度に最も影響が大きいのは残業代の計算である。異なる職種・勤務性質の従業員に対して、最も実態に合う労働時間制度を選ぶことで、不公平な残業代支給や残業代の水増し申請を有効的に解決することができる。労働時間制度のような労働人事の細かい管理により、今回の年次有給休暇による労働コストへの衝撃を軽減することが出来る。
三、労務派遣の雇用モデルを改める
二〇〇八年の年初に施行された「労働契約法」、同年後半に施行された「労働契約法実施細則」及び「企業従業員年次有給休暇実施弁法」から見れば、中国当局が労務派遣の雇用モデルを好んでいないことは明らかである。簡単に言えば、労務派遣従業員の各方面の権益に関して、年次有給休暇も含めて、ほとんど正社員のようになった。外資系企業にとって、労務派遣を利用して労働紛争の「防火壁」を築こう、或いは労働コストを低減させようというような考えは、極めて大きな挑戦になるだろう。
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