以前であれば、外資系企業は所得税確定申告の際に、税務局より当年度の関連取引状況を所得税年度申告表の「付表」の形で申告することを要求されていた。しかし今年より、所得税確定申告時における関連取引申告の要求が大幅に変更されることになった。これによって企業は「関連取引往来報告表(九枚の表)」を主表として、税務局に提出しなくてはならなくなった。
税務局が定義する関連取引の種類は、過去は6項目だったのを11項目へと大幅に増やされた。詳細は以下の通りである。
1.資材または商品の購入
2.資材または商品の販売
3.役務の収入
4.役務の支出
5.無形資産の譲受け
6.無形資産の譲渡
7.固定資産の譲受け
8.固定資産の譲渡
9.融資の未収利息
10.融資の未払利息
11.その他の上述の関連取引定義に含まれていない種類。
また、過去の関連取引申告では要求されていなかった「価格決定方法、対外投資状況、対外支払い項目状況」という三つの内容の開示も、新しい関連取引申告表では要求されており、さらに国内・国外の関連取引も別々に申告するように変更された。しかし何と言っても、新しい関連取引申告が過去と比べ最も大きく異なる点は、「海外重大取引」の開示内容である。
今年より、10%以上を占める海外取引は関連取引と見なされ、開示が必要になる。よって税務局の調査に備えるため、「輸出総額、輸入総額、海外役務収入及び支出」の項目において10%以上を占めている海外の顧客や仕入先の取引情報はこの九枚の関連取引往来申告表に記入しなければならない。
ここで問題となるのは、財務担当者は、企業の販売や仕入、権利金支払い等の行為の明細を通常知るはずがない、という事実である。例えば、取引相手に秘密保持を約束しているのか、また取引情報の開示を制限する契約書を相手と締結しているかなどの情報は、財務担当者に知らされていない場合が多い。ということは、今年から新たに執行される関連取引往来申告表は、従来の様に財務担当者が表を記入し税務局に提出するのではなく、社内の関係部門と共に十分に確認すべきである。仕入れに関わる関連取引は仕入れ部門と相談し、販売に関わる取引は営業部門と相談しなくてはならない。そして記入内容によっては、海外親会社から承認を得なくてはならない場合もある。この様に、この九枚の表は多くの部門に関わるため、財務部門のみで決定してはならないのである。
なお、外資系企業にとって、関連取引往来申告表(九枚)の表一「関連関係表」及び表三「売買表」が最も重要な表である。その記入ポイントは以下の通りである。
1.関連当事者定義の「表一」は関連当事者をAからHまでの七種類に分類している。その中で、株式持分または資金貸借の比率において明確な規定があるが、その他の実質的支配等のような関連当事者定義にはまだ曖昧な所がある。
2.来料加工及び海外重大取引の価格決定原則は、以前のコラムでも紹介しているが、来料加工企業の移転価格報告は加工賃ではなく、輸出入税関申告金額を根拠とするものである。それに対し、表三で開示する来料加工の関連取引金額の根拠は輸出入税関申告金額ではなく、加工賃である。両者は非常に混同しやすいので、特に留意しなければならない。
3.関連取引往来申告表の情報は、監査報告と海外親会社の移転価格報告に一致していなければならない。しかし実務上、中国現地の監査報告が海外親会社の正確な関連取引状況を反映しておらず、関連取引往来申告表を記入するのが困難になることがしばしば起こる。例えば、本来関連当事者ではないのに、監査報告あるいは海外親会社の移転価格報告において関連者として認定されてしまった場合などには、どのようにこの関連取引往来申告表を記入するか、財務担当者は頭を痛めることになる。
|