公正価値と取得原価は、共に会計上で非常に重要な測定属性である。そして、税法上では取得原価で価値評価をする原則が採用されている一方で、会計準則では公正価値が採用されている。この様に原則が異なっているため、最終的に納税調整が必要になり、それによってもたらされる影響は金融資産、投資性不動産、企業合併、非貨幣性資産交換などの4つの項目に現れてくる。
一、金融資産の納税影響
新会計準則では、会計期末に金融資産を期末時点での公正価値で計上し、時価の変動を当期損益に計上することが規定されている。財税[2007] 80号「国家税務総局の『企業会計準則』における企業所得税政策の執行問題に関する通知」では、確定申告の際には資産所有期間内の時価の変動による損益は考慮されないと定めている。つまり、保有する金融資産は取得原価に基づき価格計算される。よって金融資産の帳簿価値と税金計算のベースとの間で生じた差異は、納税調整を行う必要がある。
例えば、7月18日にA社が株式市場にて1株あたり時価15人民元で10万株を購入したとする。この株は購入時に取引性金融資産と認識されている。12月31日にA社は依然としてこの株を保有しており、その時の時価は16元であった。よって、A社は年末に時価による公正価値変動収益を10万元=[10万株×( 16元-15元 )]と認識し、利益が増えることになる。その一方で、80号公文書の規定に従えば、企業所得税確定申告の時にはこの収益が認められず、納税調整により課税所得額を10万元減額することになる。
二、投資性不動産の納税影響
投資性不動産を公正価値モデルで計算する時は、その資産の減価償却を計上せず、貸借対照表日の投資性不動産の公正価値をベースに帳簿価格の調整を行い、公正価値と帳簿価値との間の差額を当期損益に計上しなければならない。一方、80号公文書に基づくと、所得税の計算上は、投資性不動産は実際に発生した原価によって計算されなければならない。したがって、課税所得額を計算する時には、公正価値による変動損益は認識せず、取得原価に基づいて投資性不動産に対し減価償却を行い、納税調整を行わなければならない。
例えば、不動産会社であるB社は、8月1日に竣工(工事完了)したばかりの建造費が 9000万元であるオフィスビルをC社に賃貸し、B社はこの資産を公正価値で計算した。12月31日にこのオフィスビルの公正価値は9200万元になると、B社は200万元の公正価値変動収益を認識するので、利益が増えたとみなされる。しかし80号公文書の規定によれば、納税調整ではこの収益を認識しないので、課税所得額を200万元減額することになる。同時に、税法に従えば、このビルの賃貸期間中の減価償却額の100万元 =[9000万元÷( 30年×12ヶ月)×4ヶ月](ここでは残存価値を考慮しない)は、規定通り所得税の税引き前に控除できる。
三、非同一支配下の企業との合併時の納税影響
同一支配下でない企業との合併により、支払う対価または引き受ける負債は公正価値で計算されなければならない。またその時の公正価値と帳簿価値の差額は、当期損益に計上されなければならない。「国家税務総局の企業持分投資業務の若干の所得税問題に関する通知」(国税発[2000]118号)の規定に基づくと、同一支配下でない企業との合併は、合併される企業が資産処分による譲渡額を公正価値で計算し、その譲渡額に対し、規定に従い所得税を納付しなくてはならない。
四、非貨幣性資産の交換時の納税影響
非貨幣性資産の交換とは二つの企業が主に在庫品、固定資産、無形資産などの非貨幣性資産の交換行為を行うことを指す。商業目的のある交換行為の場合、会計準則によれば、交換により入手した資産の帳簿価値をベースにして損益を計算するが、税法によれば、交換により入手した資産の公正価値をベースにして損益を計算する。よって、帳簿価値と公正価値に不一致が生じた場合は、納税調整を行わなくてはならない。また、この調整によって、資産の存続期間中及び処分時にも、納税調整が必要となることがある。
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