政府機関が公布した創業ボード上場に関する細則を見ると、外資系企業は創業ボードの上場基準が低いと誤解するかもしれない。その様な誤解が生じるのは、設立後満3年以上経営していて、上場前の連続2年間黒字利益を持ち、その2年間の税引後利益累計が1000万人民元以上、もしくは上場前1年間の利益が500万人民元以上で取引高が5000万人民元以上であれば、創業ボードへの上場申請が出来るという認識がされているからであろう。
多くが上述の様な中国株式市場上場の利益条件を満たしているにも関わらず、最終的に中国で順調に上場できる外資系企業は極少数である。その理由は、上場過程において中国特有の保証推薦人制度が実施されているからである。
以前、中国でメインボード(深センの中小企業ボードを含む)への上場を申請する際、2名の保証推薦人から共同サインを得なければ申請書類を提出できないとコラムに書いたことがある。ここで問題となるのは、保証推薦人は保証推薦機構、つまり証券会社に所属しており、ある企業のために保証推薦人となり上場申請をするか否かは証券会社によって判断されるということである。証券会社は営利法人なので、多数の企業が上場申請を望む状況下では、優先して保証推薦人となり申請書類提出の手助けをする企業と、先延ばしする企業とを選ぶことができる。はっきり言ってしまうと、それは引受費用の金額によって決められるのであろう。
中国の保証推薦人の平均年収は100万人民元以上である。証券会社はコストを優先的に考えるため、当然募集資金が多く、規模が大きい企業の上場申請を優先して引き受ける。その結果として、中小企業の創業ボードへの上場申請が先延ばしされたり、手を付けられなかったりすることがありえるだろう。
メインボードにおける保証推薦人のサインに関する制限の中で最も重要な制限は、保証推薦人が企業の上場申請に関して、同時期に複数の企業へサインをできないということである。つまりある1社の上場申請が認可され、株式が順調に発行された後、保証推薦人は初めて他の企業の上場申請に関して保証推薦しサインすることができるのである。現時点では創業ボードにおける保証推薦人のサインに関する規則はまだ公表されていないが、メインボード以外に、創業ボードの上場申請を最低でも同時に1社はサインできるという認識が一般にされている。
現在、中国の証券会社は保証推薦人に基づく創業ボードの上場申請をする企業に対し、引受費用や保証推薦費用として少なくとも1200万人民元以上を要求している。仮に企業が順調に創業ボードに上場できて1.5億元を募集したとすると、証券会社単独の費用請求額だけでも募集額の8%という高比率の金額が掛かることになる。多くの企業が上場申請したいと殺到する場合なら、たとえ前述の1200万人民元の費用を支払っても証券会社は依然として大企業を優先的に推薦するであろう。
メインボードと比べ収益が少ない創業ボードへの上場申請に対し、証券会社は引き受ける意欲が薄いだろう。これは当コラムで、外資系企業にとって中国で創業ボードに上場の最も困難な事は、サインをしてくれる保証推薦人または創業ボードの上場プロジェクトを引き受けてくれる証券会社を見つける事だと強調する所以である。
創業ボードに上場したいが保証推薦人が見つからないという問題を解決するための最も有効な対策は、創業ボードへの上場に係る法律、税務上の支障を最低限に減らし、改制(会社形態の変更)や募集資金用途の審査などの上場手順を出来る限り素早く終わらせることである。
もし外資系企業が創業ボードの上場申請を早めに計画し、ひいては会社設立の当初から創業ボードに対する諸規定に応じて準備していた場合、法律や財務上での支障がなければ、保証推薦人は、地方の証券監督管理局が要求する推薦人による3ヶ月の指導期を含めても、最短で4~5ヶ月以内に創業ボード上場への申請書類を作成し、北京の証券監督管理委員会へ提出することができる。
時間的なコストも保証推薦人と証券会社にとって重要であるため、収益がメインボードほど高くない創業ボードであっても、上場までの期間が大幅に短縮できるのであれば保証推薦人と証券会社を惹きつけることができるだろう。 |