著名商標は商標保護の中でも、法律上最も高いレベルで保護されている。しかし、多くの人々は著名商標の認定と保護について誤解している。というのは、著名商標の条件に一致していれば著名商標と認定されるだろう、あるいは、いったん著名商標と認定されれば今後商標保護の面で心配無用だというのは誤りだからである。
著名商標の認定
実際には著名商標は、動態的で時効のある称号であり、いつでも認定申請ができるのではなく、商標保護の過程で一時的に認定されるものなのである。中国の国家工商行政管理総局により制定された「著名商標認定と保護規定」及び「著名商標認定細則」では、既に登録されている知名度の高い商標をある者がコピー・模倣または翻訳し、種類の異なる商品を作り、商標登録したことが発覚した場合について規定している。上述の規定では、そういった場合に社会・大衆の誤解を招き、その商標登録者の利益に損害を与えた場合に初めて被侵害者は著名商標の認定申請をすることができるとしている。言い換えれば、商標が侵害されたという何らかの証拠がない場合、企業は著名商標の申請をすることができないのである。
上述の商標主管部門による認定のほか、企業は中国裁判所で民事訴訟として、自社の商標が侵害されたことを証明するため、当該商標が著名商標であることを主張することもできる。この民事訴訟の手段を通すと、裁判所から著名商標認定の判決書を取得することができるが、その手順が比較的簡単に済む。そのため、一部の企業が著名商標の認定をさせる目的で「偽りの訴訟」を起こすことがあった。ひいては、案件審査に対しさほど厳しくない郊外地域の裁判所に提訴することにより、認知度の低い多くの商標が著名商標になってしまったケースも多々起こった。
5月1日より実施された新規定
このような著名商標の認定中に発生する問題に対応し、最高人民法院により公布された「最高人民法院による著名商標保護に係る民事紛争事件の審理に適用する法律に係る若干の問題に関する解釈」が、2009年5月1日より実施された。その解釈では、著名商標の司法認定の範囲と程度が明確に制限された。その中で、裁判所が著名商標権侵害に係る審理をする場合や不正競争に係る審理をする場合に限り、著名商標の司法認定を行うことができると定めている。また、著名商標の認定を行う時には以下の要因も含め総合的に考えなければならないと裁判所に要求している。
1.当該商標を使用する商品の市場シェア、販売区域、利益・税金等。
2.当該商標の継続使用期間。
3.当該商標の宣伝又は販売促進活動の方式、継続期間、程度、資金投入及び地域範囲。
4.当該商標が過去に著名商標として認定された記録。
5.当該商標の市場における名声。また、当該商標が著名であることを証明するその他の事実。
例えば上記4では、以前著名商標として認定されていたとしても、状況によって今後は著名商標と認定されないかもしれない。そして、市場シェアや販売区域などは動態的で、且つ絶えず変化することから、著名商標も動態性を持つことを物語っている。その他、商標の使用期間の長さ、業界順位、市場調査レポート、市場価値評価報告や、過去の著名商標認定の記録は、裁判所が著名商標を認定する際、全て総合的に考慮する際の拠り所となるのである。また、たとえ裁判所が著名商標と認定しても判決主文に記載することはできず、調停の形で判決を下した場合は著名商標と認定してはならないとされている。この規定から見ると、著名商標の認定は本来、裁判所がすべきではないのだろう。裁判所が著名商標を認定するのは、個別のケースに対して著名商標の権利を守るために行った事実認定であり、裁判所が判決を下すための拠り所にすぎない。
最後に、最高裁判所の規定によると、ドメイン名と登録商標が似ているという理由で商標権侵害訴訟を提起した場合、著名商標の認定はされないと明確に規定している。従って今後、裁判所が著名商標の認定に対し更に厳しくなるため、企業が引き続き司法手段を通して著名商標の認定を取得する確率は大幅に下がるだろう。
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