中国最高人民法院(最高裁判所)が公布した「契約法の適用に関する若干問題に対しての解釈(二)」が今年5月13日より正式に実施された。その中にある「情勢変更」原則の確立から見ても、違約金の金額制限及び契約解除等に関する規定から見ても、金融危機の影響を受ける外資系企業にとっては、損失減少と権益保護の両面においてこの解釈の実施は朗報である。
1.「情勢変更」の原則
まず、今回の最高人民法院の解釈(二)は正式に「情勢変更」という原則を承認している。すなわち、契約の成立後に、客観情況に当事者が契約締結時には予見できない事柄や不可抗力が生じ、且つ商業リスク上の重大変化でない場合において、契約の続行が当事者の一方に対し明らかに不公平であることや契約目的が実現不能であることを前提として、当事者は裁判所に契約の変更または解除を申請することができる。そこで裁判所は公平原則に基づき、当該ケースの実際の状況を踏まえて契約の変更または解除を実施するかどうかを判定する。
最近、金融危機の影響で、原材料価格の大幅下落、注文の大量削減やキャンセル、サプライチェーンの大幅変更等による契約履行問題に多くの企業が直面しているが、この「情勢変更」原則がそれらの問題の解決に役立つことは明らかである。ただし、この原則の具体的な運用方法として、最高人民法院の解釈上、取引の安全確保及び市場秩序の衝撃回避のために「情勢変更」原則に適用されるケースごとに裁判されるべきであり、高級人民法院に報告し批準されなければならないと規定している。特に「情勢変更」と正常の市場リスクとの区別は厳格に行い、慎重に実行されるべきである。というのも、立法機構が討論を重ねながらもこの原則が1999年の「契約法」に取り入れられなかったのは、裁判官に与えられる自由裁量権が大きすぎるためであった。
2.「自由裁量権」の制限
次に、裁判官の違約金に対する「自由裁量権」に対しても制限を行った。例えば、「高過ぎる違約金」は無効だという項目に対し、具体的な金額基準を規定した。「契約法」の第114条規定に基づき、契約された違約金が高過ぎることによって生じた損失に対し、当事者は裁判所または仲裁機構へ対し、違約金の適度な減少を申請できる。ここで問題となるのは「高過ぎる違約金」をいかに定義すればよいかという点である。最高人民法院が行った関係司法解釈の中に、違約金の金額は通常、契約の未履行部分の総額を限度とし、超過する部分については支持をしないと規定している。そして現在の中国司法実務の中で、多くの裁判所は生じた損失の30%を超える違約金を「高過ぎる」と認定している。これは「分譲住宅の売買契約紛争に適用する法律に係る若干問題に関する解釈」に、当事者が違約金が「高過ぎる」ことを理由に金額の減少を請求する場合、実際に生じた損失の30%を違約金の標準として、適度に減少することができると規定されているからである。
今回、最高人民法院の司法解釈は各地の裁判所のやり方を取り入れたに違いないであろう。当事者の違約によって生じた損失の30%を超える部分の契約違約金は、一般的に契約法の「生じた損失と比べ随分高い部分」に当てはまると認定されているからだ。そこで、企業が金融危機の影響で違約を免れない場合には、以前よりも小額の違約金支払いで済ますことができるだろう。
3.異議申し立て期限
最後に、契約解除の異議申し立て期限は3ヶ月間であると明確に規定された。実務中には、もし当事者の一方が「契約法」の規定に基づき契約解除権を行使する場合は、他方の当事者に契約解除通知が到達して初めてこの権利の効力が生じる。その後、当事者は訴訟や仲裁を通じて、契約解除に異議を申し立てることができる。以前は、「契約法」では異議の申し立て期限について明確に規定されていなかったが、今回の最高人民法院の解釈には明確な定義を下し、当事者が異議申し立て期限を約束していない場合、契約解除または債務相殺通知の到達日から起算して、3ヶ月以降に裁判所に起訴する場合は、裁判所が当該起訴を支持しないものとした。 |