中 国新株発行体制とは、株式の新規発行における価格決定、発行引受け、売出に関わる一連の制度のことを指している。この制度の中心は新株の価格決定メカニズムであり、その中には新株発行価格の確定手順と発行方式の採用が含まれている。2009年6月11日、中国証券監督管理委員会が正式に「新株発行体制の更なる改革と改善に関する指導意見」(以下、「指導意見」)を発布した。その中の新株発行体制の変更に関する最新情報は主に下記の3つである。
1. 新株価格決定の市場化と行政指導の 減少
新株価格決定の市場化の促進とそれに伴う行政指導の減少によって、今後の中国の新株発行価格に企業の実態を更に適切に反映させることができる。新株発行の価格決定制度は、1993年始まりの行政審査批准制から、2005年にはブックビルディング方式(*1)と行政指導制の融合に変わった。さらに「指導意見」により、ブックビルディングの参加者が合理的な価格を提示し、相場と購入申込価格が一致するようになるであろう。また、新株の発行価格に企業の実態を反映させるためには、主要引受証券会社は「高価格を提示したが、実際には購入しない」又は「低価格を提示したが、高価格で購入する」といった状況を防止するための措置を取らなくてはならない。
2. 新株発行体制の改善
新株のオンライン、オフライン発行体制の改善は、株式の投機的取引を更に抑制し、理性のある投資行為を推進することが目的である。具体的には、「指導意見」によると今後は新株の発行及び分配の際に、投資家はオンラインまたはオフライン方式のどちらかを選択して投資をすることしかできなくなる。そうなると、オフライン方式のブックビルディングや購入申込、分配に参加した投資家はオンライン購入申込みに参加できないため、一部の投資家の多数口座を利用した購入申込みを防ぐことができる。この様な抑制の原因として、中国証券登記決算会社の規定によると、証券会社は500万元の登録資本につき一つの株式取引口座を開設することができ、証券投資基金に関しては一つの基金取引専用席につき一つの取引口座を開設することができるため、一人の投資家や一つの投資機構が多くの口座を持つことが可能である点が挙げられる。また「指導意見」では、一つのオンライン応募口座の購入申込み額に制限を設けている(原則上、当該新株オンライン発行数の1000分の1を超えてはならない)。この様な措置を取ることにより、購入申込み意向のある中小投資家にも株式を分配することができるようになるであろう。
3. リスク提示制度
リスク提示制度は、投資家が合理的判断をするために大変重要な制度である。中国でも以前より「目論見書」上に企業のリスク提示を行っていたが、新株購入申込みの際にもリスクを提示することで、全ての投資家に市場リスクをはっきりと認識してもらう試みがある。更に、発行者及び引受証券会社が新株投資リスクに関する特別公告を掲載して一級市場(株式の発行市場)のリスクを十分に提示し、投資家に合理的に判断し行動するよう促進させる必要があるのならば、証券経営機構も同様に投資家に新株購入申込みに関するリスクを提示するための措置を取るべきである。なぜなら、新株価格決定の市場化に伴い新株にもリスクがつくことになり、新株の一部は上場後に発行価格を割る可能性も出てくるからである。
その他、「指導意見」の中では、オフラインでの配給比率の増加及び支配株主の売出制限期限の取消しや短縮に関しては規定されていないが、「適時に株式発行政策を調整し、取引可能な株式数を増加させる」、更には「オンライン分配数の増加制度(*2)と発行中止制度を整備する」等の内容にふれ、中国資本市場の投機的取引の抑制に役立てるようになっている。なお「指導意見」の公布後、上海証券取引所と深セン証券取引所は新株発行におけるオンライン、オフライン発行に関する修正意見を公布すると同時に、新株発行制度変更後の新株発行を再開するため、オフライン購入申込みの電子化プラットフォーム、登記決算プラットフォームなどの技術システムの調整を行っている。それら一連の調整が、体制変更後の新株発行の再開に役立つであろう。 ( 訳/朱鶯 /財務一部)
(*1)ブックビルディング方式:株式購入申込みの勧誘時において発行価格や売出価格に関する仮条件を投資家に提示し、その株式に対する投資家の需要状況を把握した上で発行価格等を決定する方法を指す。
(*2)オンライン分配数の増加制度:オンライン応募数が予測を大幅に超える場合は、オフラインでの発行予定株式の一部をオンラインに分配することを指す。
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